研究テーマ

 高専に着任するまでは,イオンビームと固体の相互作用に関する研究に従事しており,半導体材料へのイオン注入などの半導体プロセスなどの研究をやっておりました。現在も学外の研究機関等と協力しながら新機能性材料に関する研究やイオンビームと個体の相互作用に関する研究を行っています。福井高専着任後は、加速度センサやジャイロセンサなどの慣性センサなどを用いた人間の運動動作計測などの計測技術の応用に関するテーマについて研究も行っており、近隣の企業からの技術相談などから共同研究なども行っています。

 

 現在の研究テーマとしては、放射線計測に関するデバイスおよび計測技術に関する研究を主に行っています。放射線計測に関するデバイスの研究では、放射線計測デバイスへの応用を目的としてβ-FeSi2薄膜やβ-Ga2O3薄膜の研究を行っています。真空蒸着装置、ミストCVD装置、熱処理装置などを用いて薄膜を形成し、学内にある各種分析装置(フォトルミネッセンス、X線光電子分光法、X線回折法、走査型電子顕微鏡、I-V、C-V特性評価装置)および学外の実験装置(イオン注入装置、高エネルギーイオン散乱装置)を利用して実験を行います。実験装置の作製では、ミストCVD装置は自作しており、誘導加熱炉、ドライエッチング装置、簡易リソグラフィ装置、電子線照射装置などを自作する予定です。

 

 放射線計測に関する計測技術では、主に放射線計測器の製作を行います。半導体検出器やGM(ガイガー・ミュラー)管には様々な周辺回路が必要になり、フィルタ回路、増幅回路、バッファ回路などの電子回路の製作を行います。センサ信号のデータ集録には、マイコンに内蔵されているA/D変換機能を用いる場合、PCなどに取り付けて使用するデータ集録ボードを用いる場合などがあり、これらのデータ集録のためのプログラミングが必要ですいぜん。また、計測自体が目的ではなく、計測結果の応用が目的であり、得られたデータの解析を行います。

 

 以下に実施予定(一部実施中)の具体的なテーマ名について示します。以前に実施していたテーマについては、過去の卒業研究・特別研究を参照ください。

放射線計測に関するデバイスの研究

  • ミストCVD法を用いたGa2O3薄膜形成
  • 家庭用電子レンジを用いたマイクロ波加熱によるセラミックシンチレータの焼結
  • Si基板へのFeイオン注入によるβ-FeSi2ナノ結晶生成
  • 真空蒸着装置を用いたSi基板上のβ-FeSi2薄膜の成長
  • セラミックシンチレータに関する研究
  • DCスパッタ装置の作製およびスパッタ蒸着・ドライエッチングの実験
  • 高周波誘導加熱炉の作製

各種センサを利用した計測技術の研究(教育用放射線検出器の作製)

  • 簡単な電子部品を用いた放射線検出器の作製(高電圧発生回路の改良)
  • ガスフロー計数管を用いた放射線検出器の作成
  • CsIシンチレータとMPPCを用いた放射線検出器の作製
  • 放射線検出用の波高分析回路(PHA)の作製

その他の研究

  • Si基板へ[110]軸および[111]軸チャネリング入射した炭素の電子阻止能の決定
  • 液晶配向用ラビング布の毛並方向評価の研究
  • 河川に設置する水位計測システムの作製
  • ロータリーエンコーダ,慣性センサ(加速度センサとジャイロセンサ)およびカメラ画像を利用した立ち上がり動作計測装置の開発
  • 液晶ラビング布の毛並方向評価に関する研究

研究例

GM管を用いた簡易放射線検出器(自然放射線/閃ウラン鉱)

SIMOXを用いたSi中の阻止能に関する研究

加速度センサとジャイロセンサを用いたシュート動作計測結果

加速度センサと無線モジュールを利用したランニングおよびジャンプ動作分析

バスケットボールのシュート動作を行うロボットアーム